取締役会で“なぜそれを選んだか”との質問に
以前より説明が長くなっていないでしょうか。

このページで述べられることは、
多くのCEO・CFOが後から振り返って
気づく業績悪化やアクティビスト出現の
「前」に生じる変化です。

それは、CEO/CFOが、
"説明しずらい状態"に静かに移行していくことがきっかけです。

株価が下がる前に。
アクティビストが現れる前に。
取締役会で言葉に詰まる前に。

これらの前に動かなかったという事実は、
あとから非常に重い意味を持ちます。

Section 01 | 始まり

本当に、何も起きていないのでしょうか

多くの企業では、次のような認識がよく聞かれます。

  • 業績は致命的ではない
  • ガバナンス上の重大な欠陥は見当たらない
  • 株主との対話は続いている

しかし、そのうちに次の変化が進行します。

• CEOの説明が、以前より長くなる
• CFOの説明が、より技術的・専門的になる
• 取締役会での議論が「確認」中心になる

これが「前提のずれ」という問題の始まりです。
想定した前提とズレが生じ、かつ誰にも修正されない状態です。

Section 02 | CEO

動かなかったCEOに、最初に起きる変化

最初に失われるのは、地位でも、権限でも、信頼でもありません。

主導権です。

• 判断しているつもりが、外部の意見に反応している
• 戦略を語っているつもりが、自己正当化している
•CFOに自由に任せているつもりが、CFOは現状の説明のために立たされる

この段階では、
判断そのものはまだ大きく間違っていないことも多い。

しかし、
判断の「説明可能性・説得力」だけが、確実に低下していきます。

Section 03 | CFO

動かなかったCFOが、引き受けてしまう役割

CFOにとってのリスクは、うまく数字を説明できなくなることではありません。

あらゆる面での説明を続ける役割が、固定化されることです。

• 数字は合っている
• ロジックも正しい
• しかし、説明はすべて常にCFOが担う

この状態が続くと、
CFOは財務責任者ではなく、外部に対する説明の防波堤になります。
そして徐々に意思決定者が誰か見えなくなります

この構造は、誰かが止めない限り、自然には解消されません。

Section 04 | 外部の視点

市場と外部は、ここを見ています

  • 市場は「問題」ではなく、説明されていない前提を探します
  • アクティビストは、弱点ではなく、語られていない理由を突きます
  • 議決権行使助言会社やメディアは、誰が説明責任を果たしてないかを見ます

この段階で注目されるのは、判断の是非ではありません。

なぜ、その状態が続いたのか。
なぜ、修正されなかったのか。

これが最初の突破口として狙われます。

Section 05 | 有事

動くのが遅れた場合、選べる未来は限られます

選択肢は、すでに減っています

• 取れる行動は外部の問題提起に対する「対応」に限られます
• すべての判断に、説明責任が上書きされます

この段階で外部の関与が入る場合、
それは経営の設計ではなく、対応による被害の最小化です。

この段階においては、被害の最小化は重要です。
しかし、未来の選択肢は限られ、自由を選ぶことはできません。

Section 06 | 理由の整理

CEO/CFOが動かなかった理由は、その時点では、すべて合理的でした

  • 直近の業績を優先する経営判断
  • 外部圧力が顕在化していなかった状況
  • 今期を乗り切るという経営判断

いずれも、その時点では正しい判断です。

ただし、判断した理由は、時間とともに風化し、
そもそも理由は評価の対象になりません。

善かれ悪しかれ、残るのは、状態だけです。

Section 07 | Fusionの位置づけ

外部専門家の関与が必要になるのは、次のような局面です

• 経営判断そのものではなく、説明の構造に違和感が出始めたとき
• CEOとCFOの役割が、意図せざる形で、無意識のうちに固定化され始めたとき

目的は一貫しています。

経営は、責任を負うべき人物が、自身の言葉で説明できる状態を維持すること。
これが崩れた時、本来語るべきでない人物が、意図せざる説明を強いられる状態になり、こののちに様々な悪影響が顕在化する

動かなかったという事実は、
あとから修正できません

動かなかった理由は、
あとからいくらでも説明できます。

しかし、市場が扱うのは理由ではありません。

動かなかったという判断は、
時間が経つと「選択」ではなく
「状態」として扱われます。

その状態が固定化されたとき、
経営は説明ではなく、防御に移行します。

それが、
経営に起こる最も静かな変化です。